PROPERTY GUIDE / 登記・売却前の確認
登記の住所が昔のままの家は売れる?住所変更登記と売却前の確認
登記の住所が古いままでも、売却相談は始められます。ただし、売却の所有権移転登記に向けて現在の住所との一致を確認する必要があります。住民票の転居手続きと、不動産登記の住所変更は別と考え、契約前に必要な手続きと日程を確かめましょう。

思い込み1「役所へ転居届を出したから、登記も変わっている」
以前住んでいた家を売ろうとして登記事項証明書を見たら、所有者の住所が古いまま。転居の手続きはしたはずなのに、と戸惑うことがあります。登記事項証明書は、登記に記録された所有者や担保などを確認する資料です。
ここで見ているのは、売る家の所在地ではなく、所有者欄に記録された本人の住所です。家自体が移動したわけではなくても、所有者が引越しをしていれば確認が必要になります。土地と建物をそれぞれ確認してください。
法務省は、市区町村で住民票の住所変更をしても、不動産登記の住所は自動的には変わらないと案内しています。スマート変更登記を利用する場合にも、後述する申出や実際の登記の状況を確認します。転居届の提出だけを根拠に、登記も変更済みと考えないことが出発点です。
この記事は、日本国内に住所がある個人の所有者について、引越し後の住所変更を中心にした売却準備を扱います。法人、海外への転居、亡くなった方の名義が残る相続物件は、必要な確認が異なります。
思い込み2「売却するときまで、いつまでも待てる」
住所等変更登記とは、登記上の所有者の住所や氏名・名称が変わったとき、その記録を変更する手続きです。2026年4月1日から申請が義務化されました。売却予定の有無とは別に、期限を確認する必要があります。
原則として、2026年4月1日以降の変更は変更日から2年以内に申請します。それより前に住所等を変更し、変更登記が済んでいない場合も対象で、2028年3月31日までに対応が必要です。過去の引越しだから対象外、とはなりません。
正当な理由なく申請義務を怠ると、5万円以下の過料の対象になります。ただし、期限を過ぎた瞬間に自動的に過料が決まるという意味ではありません。法務省は、相当の期間を定めた催告などの扱いも説明しています。期限や義務の履行方法は、自分の変更経緯を踏まえて法務局や司法書士へ確認してください。
一方、売却が近い場合は、法律上の期限まで余裕があっても登記の準備が必要です。申請義務の期限と、買主へ名義を移すために必要な準備日程を混同しないようにしましょう。
思い込み3「スマート変更登記を申し出たら、すぐ売却できる」
スマート変更登記は、法務局が住所等の変更を確認し、登記官の職権で変更登記を行う仕組みです。個人の場合、その前提となる検索用情報の申出などの手続きがあります。検索用情報とは、法務局が所有者の住所等を確認するために用いる情報です。
法務省のQ&A(2026年9月30日現在)は、個人のスマート変更登記による実際の変更登記は2026年12月中旬以降と案内しています。対象は検索用情報の申出がある場合に限られ、事前の意思確認通知に対する回答も必要です。2026年11月6日現在、申出だけで変更が完了しているとは扱えません。
この仕組みを利用するための申出と、現在の住所が登記に反映されたことは同じではありません。横浜地方法務局は、売買予定があるなど速やかに住所・氏名を変更する必要がある場合は、自分で変更登記を申請するよう案内しています。
申出済みかどうかに加え、現在の登記がどうなっているかを確かめてください。「申し出たから大丈夫」と決済日を先に約束せず、売却を担当する司法書士などに、申出の状況、現在の記録、希望日程を共有します。決済とは、売買代金を精算し、登記や引渡しを進める場面です。
自分で申請するか、専門家に依頼するか、必要な期間や費用は個別に確認します。スマート変更登記を利用する申出の費用と、別途申請・依頼する手続きの費用を一緒に考えないことも大切です。
確認するのは「今の住所」だけでなく「つながり」
住所変更の登記では、登記上の住所から現在の住所へ移った経緯を確認します。一度だけの引越しと、何度も転居した場合では、資料でたどる範囲が違います。
東京法務局は、移転の経緯が記録された住民票の写しや戸籍の附票を添付書類として案内しています。戸籍の附票は、その戸籍に在籍している人の住所の履歴を記録する資料です。現在の住民票一枚で、古い登記住所からの経緯をすべて確認できるとは限りません。
住民基本台帳ネットワークで変更の事実を確認できる場合には、住民票の写し等の添付を省略できる扱いもあります。ただし、確認できない場合には追加の資料を求められることがあります。自己判断で「書類不要」と決めず、申請方法に応じて確認してください。
古い住所からの経緯が資料でつながらない場合、結婚等で氏名も変わっている場合は、そのことを先に伝えます。必要な証明を推測で決めて何度も取り寄せるより、記録のどこが不足しているかを法務局や司法書士に確認しましょう。住民票コードなどを、用途や送付先が分からないまま送る必要はありません。
売却の初回相談に伝える五つのこと
書類がそろう前でも、分かっている経緯から売却の相談は始められます。「登記は昔の住所、転居は複数回、変更の申出をしたかは不明」のように、そのままお知らせください。次は相談用の整理項目で、全件共通の登記添付書類一覧ではありません。
住みながら売る場合の内覧・転居・引渡しの整理は「住みながら家を売れる?」で説明しています。売却後や決済直前に転居する予定がある場合も、登記の準備に影響する可能性があるため、早めに予定を共有してください。関連記事へのリンクは末尾にあります。
- 物件:所在地、土地・建物・マンションの別、登記事項証明書が手元にあるか。
- 住所:登記上の住所、現在の住所、分かる範囲の転居時期と回数。正確でない記憶は未確認とする。
- 氏名:現在の氏名と登記の記載に違いがあるか。住所だけの問題と思い込まない。
- 手続き:検索用情報の申出、住所変更登記の申請、完了のどこまで進んでいるか。
- 日程:売却希望時期、引越し予定、契約や決済日がすでに決まっているか。
住所の確認と、権利証・抵当権の確認を一緒に進める
住所が変わっていることと、権利証が見つからないこと、完済したローンの抵当権が残ることは、別の確認事項です。一つが解決しても、ほかの準備が済んだとは限りません。気になる点は初回にまとめて伝えると、契約前に手続きと日程を整理しやすくなります。
「権利証が見つからない家は売れる?」では紛失時の本人確認、「完済したのに抵当権が残る家は売れる?」では抹消書類と金融機関への照会を扱っています。どちらも末尾の参考情報からご覧いただけます。
株式会社ブラザーホームでは、東京23区・千葉・埼玉を中心に、戸建て・土地・マンションの売却相談を承ります。こちらで現在の状況と売却のご希望を伺い、必要な確認をご案内します。登記手続きの判断や代理は司法書士などへ確認し、買取可否・価格・引渡し時期は物件調査等を踏まえて個別に検討します。
電話03-5809-8182(受付10:00〜18:00)。東京都知事(3)第97947号。〒132-0014 東京都江戸川区東瑞江2-10-10。
制度・資料の確認日:2026年11月6日。個別の申請義務や添付書類を確定するものではありません。